製作工程

Process

細く割った竹を編み上げて籠(かご)などをつくる竹工芸の技術を編組(へんそ)といいますが、喜節の竹籠バッグもこの伝統技法を用いています。
布や革でのかばん作りと同じように、素材を製材し、組み合わせるという流れは変わりませんが、手作業でしかできない竹工芸ならではの製作工程をご紹介します。
  • 1.竹割り

    竹を細く割ったものを「竹ひご」といいますが、丸竹を割るところから竹ひご作りが始まります。まずは必要な長さに切り分け、縦に半分に割り、厚みを半分にへぐ[2]という作業を繰り返し、目的の幅と厚さに近づけます。

  • 2.へぎ

    ある程度の幅に割った竹を、皮側と身側に分ける作業を「へぎ(剥ぎ)」といいます。竹を縦に半分に割ったら[1]、厚みを半分にへぐ工程を繰り返し、籠作りに必要な本数の竹ひごを作っていきます。ちなみに、竹籠作りでは表面の部分のみを使用します。

  • 3.巾引き

    竹ひごの幅を揃える工程です。専用の機材もありますが、工房では巾引き(はばひき)用の小刀を使って行います。「美しい竹工芸品は、美しい竹ひごから」といっても過言ではないほど、幅を正確に揃えることは重要です。

  • 4.面取り

    竹籠の触り心地をなめらかにするため、竹ひごの角の部分を面取りします。

  • 5.裏すき

    へいだままの竹の裏面はささくれているため、小刀で裏をすいて整えます。喜節の竹籠バッグに使う竹ひごの厚さはバッグによって異なりますが、薄いものだと約0.2mm。この工程で厚さを揃えて、竹ひごを完成させます。

  • 6.染色

    喜節の竹籠バッグは、通常、明暗二色の茶色に染色した二種の染竹を使っています。ちなみに、竹の表皮はエナメル質に覆われていて、そのままだと染料や漆をはじいてしまうため、竹割り[1]の前段階で表皮を削り落としています。

  • 7.竹編み

    竹ひごが準備できたら籠を編み進めます。厚さを薄くしているとはいえ、編み込んでいくと少しずつ凹凸ができるため、外側の竹ひごを押しだそうと反発する力が働きます。そこをうまく押さえながら、隙間なく編み上げていきます。

  • 8.火曲げ

    竹籠バッグの縁に使用する竹を熱して曲げる工程です。薄くへいだ(剥いだ)竹は押さえれば曲がり、手を離せば戻ってくる性質がありますが、ある程度の幅・厚さの竹は熱を加えることで竹の繊維がやわらかくなり曲げることができます。ただし、熱しすぎれば焦げてしまったり折れてしまうため、集中力を要します。

  • 9.籐かがり

    細く割った籐の皮で竹籠バッグの縁などをかがって固定していきます。籐かがりは、竹籠を丈夫で美しく仕上げるための重要な工程で、かがった籐が緩んでいると籠全体が弱くなってしまいますし、かがり方が不揃いになると丹念に編んだ編み目まで台無しになるので、力加減が重要になります。

  • 10.漆塗り

    平面に塗るのとは違い、籠の編み目に凹凸があるので、くぼんだ部分に漆が溜まらないように、そして塗りムラや塗り残しがないように細心の注意を払い、「塗り」と「乾燥」を3度ほど繰り返して仕上げていきます。漆は空気中の湿気によって揮発するので、湿度を上げた室(むろ)に入れて乾燥させます。

  • 11.竹籠バッグの組み上げ

    喜節の竹籠バッグは、クラッチバッグであれば左右、ブリーフケースであれば蓋と身の2つの籠を同じ大きさ・形に仕上げて、隙間なく組み合わさるのが特徴です。その点が1つの籠で作られる一般的な竹籠バッグと異なり、製作には高度な技術が必要になります。

  • 12.蝋磨き

    竹籠バッグの艶出しと竹の割れ防止のためにイボタ蝋で磨きます。イボタ蝋は、イボタノキに寄生するイボタロウムシが分泌する蝋成分で、融点が比較的高く固い蝋なので木竹製品の艶出しなどに使われています。昔から「竹の籠は手脂で仕上げる」と言われますが、それには長い年月がかかるので、喜節の竹籠バッグは使って仕上げるまでのつなぎとして蝋磨きの仕上げを施しています。

ご注文について

喜節の竹籠バッグは、受注生産でご注文を承っています。お問い合わせフォームよりご連絡ください。
お届け時期は、ご要望の商品や個数、予約状況により異なりますので、ご注文・お問い合わせ時にお知らせいたします。